駒井 和子

こまい かずこ

ご自身で「能」や「鼓」をされており、着物が好きで自分の着物を作りたいとの思いで勉強されてきた。
独特な感性であり作品のモチーフも様々である。
作風としては遊び心があり配色にも特徴がある。
とても大らかな方であるが、制作には生地に拘り、一点一点充分に練り上げて作られるので作品は少ない。
伺う時には、次に制作されるデザイン画などを見せて下さる事も多く、帯として駒井氏の個性が際立つ様に色々と話をしながら相談して制作して頂く。


略歴

1945年 神奈川県葉山町に生まれる
1967年 女子美術大学工芸科 卒業
     在学中は柳先生の指導で織を専攻
1969年 駒井礎一と結婚
1989年 娘の大学入学を期に型染の勉強を始める
1999年 添田敏子先生に師事
2022年 逝去

<趣味>能楽 子供の頃より親しむ
    観世流三丁方 岡久宏氏に師事
    小鼓 大倉流家元 大倉源次郎氏に師事
    茶道 裏千家 塩月弥栄子門下
    茶名 宗和

九寸
「融(トオル)」
染料:顔料

「能」の演目の「融(トオル)」に因んで制作。
「融」…東国から京へ上った諸国一見の旅僧が六条河原の院を訪れ有り休んでいると、そこへ田子を担った老人がやって来ます。
僧はここは海辺でもないのに汐汲み姿をしているのはどうしてかと尋ねます。
すると老人はここは塩釜の浦を写した海辺だと答え、その昔に左大臣源融が塩釜の浦を模して造園し、毎日難波の浦から海水を運ばせて塩を焼かせるという風流を楽しんだが、今はすっかり荒れ果てていると語ります。
そして京の山々の名所を指し示しながら教えると、そろそろ汐を汲む頃合いだと見て消え失せます。



九寸・麻地
「ブルー地・浮雲」
染料:顔料

ベトナムの美しい景色。
透き通るかのような青空に真っ白な雲が流れ、水辺では水連が咲いている様子を表現。