あらかき さちこ (重要無形文化財技術保持者)
新しい八重山上布の在り方を常に考えられ、様々な組織を取り入れて独自の世界での作品表現をされている。
澄み切った色を出されるのは、新垣氏の自然を愛されている事が伺える。また仕事の合間、島の公園などを散歩されるのがお好きで、石垣島の自然の美しさを穏やかな心で読み取り、作品の表現の源とされている。
いつも伺う折には、手作りのお菓子を作ってもてなして下さる。その優しいお気持ちは作品を通して感じられる。
略歴
1945年 疎開先の熊本県で生まれる
1963年 琉球政府立八重山高等学校卒業
1972年 保険会社を退職し沖縄県立工業試験場染織課にて研修
5月15日 日本へ復帰の日に入所(安座間美佐子氏と一緒) 研修期間1年間
1973年 大城志津子氏に指導を受ける 日本民藝館にて括り染め上布(古文書に記されている紺嶋上布)に出会う 以後、括染の八重山上布を織り続ける
1974年 第26回 沖展 初出品奨励賞受賞
1975年 志村ふくみ氏に指導を受ける
1980年 石垣市伝統工芸館にて八重山上布講習会・研究コ-ス講師 (1990年まで)
1983年 沖縄県工芸公募展優秀賞受賞
1984年 沖縄県主催第3回現代美術・工芸展出品
日本織物展出品(10人展)
ストックホルム-8/25~9/30
コペンハ-ゲン-10/11~11/18
1985年 第37回沖展準会員賞受賞、会員及び審査員となる
財団法人沖縄県工芸振興センタ-より、安谷屋正量賞受賞
1986年 カナダにて日本展出品
1987年 志村ふくみとつむぎ展出品(東京)
1989年 沖縄県立芸術大学非常勤講師 (2015年まで)
1991年 沖縄県指定無形文化財「八重山上布」保持者に認定
1992年 「今、輝いている女性達展」出品(大阪)
1993年 京都染織道の追求「この人、この作品」出品
1995年 東京銀座和光にて、個展
日本・スロバキア・オ-ストリア3カ国織物16人展出品
(グラティスラバにて)スロバキア美術連合織物同盟主催
1996年 沖縄タイムス芸術選賞奨励賞
1997年 沖縄県優秀技能者表彰
1998年 日本工芸会正会員認定 卓越した技能者表彰 (現代の名工)
1999年 第19回伝統文化ポ-ラ賞受賞 (財団法人ポ-ラ伝統文化振興財団)
2001年 八重山毎日文化賞受賞
2003年 東京銀座和光にて個展
2004年 第38回沖縄タイムス芸術選賞大賞受賞
2008年 多摩美術大学客員教授(2019年まで)
2009年 「新垣幸子 八重山上布展・琉球の光と風」(沖縄県立博物館・美術館にて開催)
「第一回八重山上布保存会展 新垣幸子の仕事」(石垣市民会館にて開催)
第43回日本伝統工芸染織展 日本工芸会会長賞 受賞
2010年 「八重山上布 新垣幸子の仕事」を求龍堂より出版
「~南風のしらべ~ 新垣幸子展」を銀座 福岡 岡山にて開催
2014年 第47回西部工芸展KKB鹿児島放送賞 受賞
2017年 沖縄県文化功労者として表彰
2021年 「八重山上布 裂帖」(作品裂 170点)を沖縄県立芸術大学と、石垣市立八重山博物館へ寄贈
2024年 「新垣幸子 染織展 ―琉球の光と風を繹(たず)ねて―」をセイコーハウスホールにて開催
重要無形文化財「八重山上布」保持者に認定される
現在 重要無形文化財保持者・日本工芸会正会員・沖展会員

訪問着
「涼月」
染料:琉球藍・八重山藍・福木・楊梅
夏の盛り、日が落ちると爽やかな風が吹き抜け鳥が夜空を舞っている。
その涼やかな風に、月が優しい光で島全体を包み込んでくれている様子を表現。

着尺・絽織
「清流のほとり」
染料:琉球藍・福木・楊梅
山から清らかな水が流れ、周りの木々は緑の葉を茂らせ光に向かって行く。
そこからの木漏れ日が川面を照らし、煌めいている様。
絽織を市松に配す事により爽やかな情景を表現。

九寸・板花織
「ピンク無地」
染料:コチニール
色糸を花糸として用い、生地巾一杯に花織を入れるのが板花織である。
ピンクの濃淡が美しい。

八寸・生成地
「ブルー緑奴十字段ブルー花織入
経緯手績糸」
染料:琉球藍・福木・楊梅
こちらは、経緯共に苧麻の手績み糸を用いた特別な作品。
緑とブルーの巾の違う経絣に花織を併用し立体感のある構成となっている。