きたがわ ひろえ
北川氏は、木綿の手紡ぎ糸を自身で紡ぐ事から織り上げるまで一貫してご自身でなさる。
作品の緯糸は、すべて手紡ぎ糸を用いている。
形に捕らわれず、自由な発想で作品の制作に取り組まれている。
いつも新しい事にも挑戦され特徴ある物づくりでありながら、時代に合った作品を制作されている。
いつも伺う時には、手作りのお菓子でもてなして下さる温かな方である。
仕事もさることながら、様々な事を教えて下さる。話をして頂く事は仕事に繋がって行くので有り難い。
略歴
1943年 岡山県 倉敷市に生まれる
1987年 青戸 由美恵氏の工房に入門し、出雲絣を学ぶ
1988年 同工房を卒業
1990年 独立し、創作活動に入る
(倉敷の生家で工房を作り移る)
山陰の出雲絣を学び、その後独立し、倉敷に工房を持たれる。
糸つむぎ・絣括り・染色(草木染)・織(平織・紋織)すべての工程を自らが手がける。
他の織物同様、糸づくりから行わねばならないものに関しては、糸作りが一番大変な作業である。
綿より糸を紡ぐ際には、糸車を廻して行うが均一した太さの糸を作るには熟練した技が必要である。又一日かかってもほんのわずかしか出来ず、1反分の糸を紡ぐのには一ヶ月余かかる。
手紡ぎの糸には紡ぎ手の性格が出ると言われるが、北川さんの場合にはやさしく、暖かさが感じられる糸を紡がれ、そして生地として織り上げられる。
作品は伝統の技と心を自らが昇華し、独自の完成の基に創作されている。

着尺
「萌黄×薄ピンク地・縞絣に枡十字3釜」
染料:カルカヤ・枇杷
地色になる経糸と緯糸の色を変えて織色での変化と絣での表現で織色が三色になるようなデザインにされている。
細い手紡ぎ糸を使用されているのでね繊細な作品に仕上がっている。

八寸
「白地・グレー変り菱文11釜」
全体を紋織で構成し、ふっくらとした地風を作す出す事と模様を織りだしている。
白地にグレーの二色で繊細な柄で木綿織物であるが、格調ある作品に織り上げている。

角帯
「黒地・多色小菱文」
染料:藍・他
全体を紋織で構成し、ふっくらとした地風を作す出す事と模様を織りだしている。
様々な草木染の糸と藍染を重ね染した黒色での織色の変化が独特な色を生み出している。
手紡ぎ糸なので微妙な伸縮があり締めやすい地風である。