いながき ゆり (日本工芸会・静岡県工芸家協会)
初めて紹介を受けたのは平成16年の夏であった。
その時は、まだ自身でどの様な作品を制作して行くのか、戸惑いがあるかの様に感じたが純真で熱い眼差しが印象的であった。
その四年後に東京での個展をされていて伺うと、以前とは全く違うものを感じた。
作品に対して、はっきりとした目標と意識があり展示してある作品も美しく輝いていた。
私が起業すると同時にお付き合いをお願いした方である。
熱心で丁寧な物づくりで、貝紫を極めて行きたいとの熱い想いで制作されている。
略歴
1973年 静岡市生まれ
1997年 女子美術大学芸術学部工芸科織専攻卒業後、同校元名誉教授寺村祐子氏に師事
主に植物染織を用い、着物・帯などを中心に制作中
1998年 第24回静岡県工芸美術展にて工芸家協会会長賞を受賞 以後、受賞を重ね2000年静岡県工芸家協会員となる
2006年 コペンハーゲン(デンマーク日本大使館)にて個展
2007年 東海伝統工芸展入選
その他、個展・グループ展などを中心に活動中
日本工芸会 東海支部 研究会員
静岡県工芸家協会 理事

着物・貝紫染
「晴明」
染料:貝紫・槐
黄色以外は、すべて紫貝の染料から出した色である。
紫の濃淡を主に構成された縞の着物であるが、透明感のある色調で格調があり糸使いも心地よく、単衣・袷のどちらでも着られる。

着尺
「貝紫染・綾織・無地」
染料:貝紫
紫貝からの染料のみで色を出している。
柔らかな色調は、稲垣氏らしさが際立っている。
ふっくらとした糸を用いて地紋を綾織にし、無地でありながらお召しになると様々な表情を出してくれる。